無料-
出会い-
花-
キャッシング
財政課の仕事って予算だけじゃないのね。
議会と執行部
先号の続きである。さて、何で議会の季節になると財政課が忙しいのか。
議会に上げるための(おぉ、先号で「上程なんて言葉は知らなかった」という私も、無意識に「議会に上げる」という言い方を使っているゾ)予算案を最終的に調製するのが財政課であるから、という理由があるのはもちろんだが、ところが、財政課が関わっているのは予算案だけではなかったのだ。他の自治体は違うかもしれないが、岐阜県の場合、財政課は議会に対する「県の執行機関」の窓口でもあったのだ。
どういうことか。――わかりやすく言えば、議会は「県」の方針などを決める「決定機関」で、財政課やその他の県庁各課はその決定された事項を遂行する「執行機関」だということである。いずれも県という組織の一機関であることは間違いないが、その性質が違うのである。で、議会に対し、その県庁各課の総合窓口になっているのが、岐阜県の場合は財政課だということである。
で、開会前、開会中は、議会と各課とのやり取りが頻繁になるので、それに伴って「総合窓口」の財政課が忙しくなるってことである。
例えば、議会には一般質問ってのがある。議員が知事や部局長など執行機関に対して施策の方針を問いただしたり、事業の進捗状況を尋ねたりするものである。議員がどんな質問をするのかは、大抵の場合、実は一般質問の前日にその内容がわかっている。で、その質問に対し知事や部局長はどう答えるのか、その回答を該当課は翌日の議会に間に合うように作成する。で、それらすべての答弁を最終的に取りまとめるところが財政課なのである。(議会に対する財政課の仕事はこれだけではないし、議会の在り方がこれでよいのかどうかという議論もあるが、今回は割愛。)
これまでにも再三申し上げているとおり、私は予算だとか議会だとかという自治体のシステムの根っこの部分にまるで興味がなかったので、6月議会でそれ体験するまでそんなことを全く知らずにいた。(ま、本庁経験がそれなりにあれば、私も答弁の一つも書いたかもしれないが。)
「財政課=予算を作るところ」というアタマしかなかった私には、しかし非常な驚きであった。で、思わず、「何で財政課でそんなことをするの?」と同僚に聞いたら、「財政課の分掌事務になっているから」という実に明快(?)なお言葉をいただいた。「だって、(事務分掌表には)『予算に関すること』より先に『議会に関すること』って書いてあるんですよ」 ――見てみると、なるほど確かに書いてある。
議会に対して執行部が一つの窓口を設けることはよいことだと思うが、では、何故それが財政課なのか。この私の問いに対し、私を納得させられる答えの言える人が、県庁内に何人いるのかな、と実は私は思っている。
答弁の流れを取ってみると、以前は、各部の筆頭課で集められた答弁が、最終的に総務部(執行機関の筆頭部)の筆頭課である財政課に自然に集まってきていたと思う。つまりは、以前は財政課は全執行課の筆頭課であったから、執行機関の窓口になったわけである。が、今は財政課ってのは、部の筆頭課ではない。なのに何故、財政課が「執行部代表」なのか。「お金」がすべての施策の根本だからか?
ま、多分、そういうことなんだろうけど、私にはこの考え方は好きになれない。例えば、私の興味の対象、飛鳥時代を見てみても、今で言う大蔵大臣の蘇我氏が天皇(当時は大王)の家臣でありながら実質的には日本の支配者であった。「カネ」と「群臣の代表」という二つを持っていたために、蘇我氏は強大な権力を得た。同じように、予算を「査定」し、執行機関を「代表」するという二つの「権限」を財政課に持たせるこの体制が、財政課と各課との関係を「上下関係にある」と錯覚させていることは間違いないと思うからだ。
個人的には、改めるべきじゃないかなと思っている。くどいようだが、財政課とその他の各課は対等であるのだから。(査定ではなく協議、代表ではなくあくまで窓口という考え方が定着すれば、この体制でも悪くはないと思うけど)
とりあえず、今回は議会と執行部との関係については勉強不足であまり紹介できなかったが、ちょっと興味が湧いたので、後日きちんと取材してこの辺のシステムについて紹介したいと思っている。
[PR]動画