ブレイク(2話)
「あら・・?」
家計簿をつけていると、外の方から声が聞こえてきた。
美緒ちゃんと薫さんが、また騒いでるのかしら・・
そう思って、外に出たのだけれど・・・
「あら、真雪さん、それにリスティも・・どうしたの?」
口論などしてる間など無い・・・そう気付いたときには、既に愛が来ていた。
「あ・・・・っ!!!」
気付かれた・・・
もうここまで・・・
2人共に、そう思っていたのだが・・・
愛は、突然座り込んだ。
「まぁ・・大丈夫?今、治してあげるからね・・」
そう言って目の前の、傷だらけで倒れている犬(?)を抱きかかえ、
寮内に戻ってしまった。
「ほら、大丈夫・・だから、大人しくしててね・・」
少し暴れる犬(らしき物体)を、なんとか抑えながら治療を施す愛。
「ぴこっ!」
かぷっ
「はう・・痛ぃぃ・・」
ちょっと涙目になりながらも、そのまま毛の塊のようなその犬の腹の辺りを包帯で巻く。
「よいしょっ・・と・・これで、大丈夫♪」
治療を終えた頃には、毛玉犬も大人しくなり、そのまま愛の上に寝転がっていた。
「あはは・・かわいいかわいい♪」
少しの間、毛玉犬とじゃれる。
その後、このかわいい(?)毛玉犬にミルクを与えたのだけれど、
元気になったようなので、外にかえしてあげた。
愛の事を一目見て、それから、結構な速度でぴこぴこ言いながら(?)走り去って、すぐに見えなくなった。
「あはは・・元気になってよかったぁ♪」
そして、愛はまた、この事を日記に追加するのだった。
翌日〜
「あー、しっかしアレだなオィ、愛にばれなくて良かったなぁ」
すっかり笑顔の真雪。
原稿はリスティと知佳に地獄で落ち合おうと約束した結果なんとか終わった。
慣れない徹夜で、ぐった〜りとしているリスティ。
「うぅ・・全然良くないよ・・ボク、もう死にそう・・」
綺麗な銀髪はだれて、手はちょっと汚れている。
「ま、いいじゃんかよ。
なんとか愛の車、ぶっ壊したのがあたし達だってばれないんだからさ。」
でも・・・
と、リスティが困り顔で言う。
「やっぱり、謝らないと・・お母さん、きっとすごく悲しむだろうし・・」
子供ながらに、悪い事をしたと思っているのだ。
当然、破壊した張本人も、それは思っている。
ただ、今までのちとずる賢い生き方からして、
素直に謝るのが苦手になってしまっていたのだ。
「ね、ちゃんと、謝ろう。
お母さん、きっと、許してくれるよ。」
しっかりと目を見つめてくるリスティ。
「う・・」
良心の呵責に負けたのか、とうとう真雪は折れてしまった。
〜続く〜
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