カセイ人の食べ物

 フランス料理の基本的なソースにBurre Blanc(とてもカタカナでは表記できないほど発音しにくい名前です)というのがありますが、これは白ワインとシャロットをソース鍋で半量になるまで煮詰め、さらに生クリームを加えて、これも半量になるまで煮詰め、最後にバターをドサッと入れて溶かします。

 カセイ人はこんな不気味なソースのつくり方を知っている必要はありません。元来、どこの文化でも凝った料理というのは素材が新鮮でないために、それをごまかすワザとして発達してきた、という側面を持ちます。確かにこういう技術が役立つことはありますが、別に「おフランス料理を習いました」と、鬼の首でも獲ったように自慢する筋合いのものではありません。趣味の域に留めておきましょう。

 それよりも大切なのは――カセイ人として必ず心がけてほしいのは、素材を吟味する目を磨くことです。魚や肉や野菜の鮮度を見分けられることなどは基礎の基礎ですが、加工食品の成分表を読んで理解できること、産地や加工業者の情報などにも通じて良心的な生産のしかたをしている食品を選ぶように努力することなどです。

 「近所のスーパーにはこの製品しか売っていない」というのは、カセイ人が口にする言葉ではありません。小売業というのは“買ってくれる人がいれば仕入れる”商売だ、ということを覚えておきましょう。なんらかの理由で店頭に並んでいる食品が不本意であるなら、まずご近所のカセイ人仲間を五,六人集めて討議し、連れ立って店長に面会して「この製品をおかないのだったら、よそにいくしかないわねぇ」と慇懃に脅迫しましょう。脅迫というのは言葉が悪いですね。店の改善に協力する、と言いかえましょう。

 ここから派生して、食品の生産法そのものに疑問がある場合は、製造元、またそれを管理するお役所にも働きかけなければならないでしょう。こういうことは政府のナントカ省というところが国民の税金を使って日夜、努力してくれているはずなのですが、彼らも忙しすぎて現場のことは見逃しがちです。せっかく国民の健康を案じて大金を投じている機関なのですから、その仕事がしやすいように現場の意見をマメに伝えてあげるのが、カセイ人として、ひいては国民としての義務です。

 安全な食品を確保することは、原始時代の狩猟にも匹敵するくらい困難な作業になってきています。昔から狩猟は“男”の仕事となっていたわけですが、こういう面でも、もとは男だったカセイ人の手腕が期待されます。もちろん、もとは女だったカセイ人も、意識を新たにして“狩猟”のワザを磨かなければなりません。
 
そのうちに、このページに「カセイ人風料理」のレシピも掲載しますので、楽しみにしていてください。



カセイ人の家

ただいま建設中ですので、少しお待ちください。


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