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ごみ箱がなくなった日
「環境にやさしい」は難しいね
岐阜県は、99年7月に県庁舎のISO14001を取得した。自治体としては全国4番目であったらしい。
私はこの当時、ソフト化経済センターに勤務していたので、取得に向けた取り組みや取得後の取り組みなどが県庁舎内でどのようなかたちで周知され、実施されてきたのかという体験談は、残念ながら一つも持ち合わせていない。しかし、昨年度、実に6年半ぶりに本庁者に勤務して、庁内の環境がずいぶん変わっていたことに驚いたものである。
まず目に付いたのがアメニティバッグ。小さなメモ用紙、切り刻んだコピー紙など、これまで古紙回収に回らずごみ箱行きになっていた、リサイクル可能な紙を回収する袋である。高さ100p、直径50p程度の円柱状になる紙袋で、昨年度は各課に収まりきらず廊下に置かれていたりしていた(今年度は「廊下に物を置かない!」が徹底された)。
また、今でも慣れないのが昼休み時の消灯である。昼休み開始の12時15分になると、皆おもむろに席を立って、室内の照明のスイッチを切るのである(来客中は消灯不要)。その他、紙の分別は以前に増して徹底されたし、両面使用が原則となった。封筒も「繰り返し使う」が基本になった(庁内、市町村等とのやり取りには古封筒を使う)。
などなどの節約の結果、ISO14001の取得前と比較して、3,600万円の削減効果があったという。しかし、一方で、一般ごみは7.6%増加してしまったということで、昨月から各課のごみ箱が撤去されてしまった。
課内にある小さなごみ箱は10人に1個程度に減らされ、各フロアの数カ所に置かれていたごみの集積箱も無くなったのである。これまでは、小さなごみ箱がいっぱいになると各自で廊下の集積箱にごみを捨てに行き、夕方になると清掃業者がそのごみを回収していた。しかし、今は、清掃業者が各課に「ごみを出してください」と声をかけて回り、声がかかると皆、慌てて手元のごみ箱を持って回収箱にごみを入れる方式に変わった。早い話が不便になった。
この方針が一方的に通知されたとき、私は、公園のごみ箱を撤去した話を思い出した。公園利用者にいくら呼びかけてもごみ捨てのルールが徹底されない。そこで、公園内のごみ箱を撤去したら、公園内のごみもなくなった、というものである。この場合は、ごみ箱の周りにたまる(あふれる)ごみがなくなるわけだが、県庁の場合は、これまでもごみがあふれていたわけではないので、さて、効果のほどはいかがだろうか。
と、思っていたが、数週間が過ぎ、今では何となく効果がある気がしている。結果として、紙の分別をさらに心がけるようになったし、庁内の売店で買い物をしても袋をもらわない人が増えたように思うからだ。
さて、しかし、ペットボトルや空き缶の回収量の推移はどんなものかしら、と、自分のカップを洗いながらちょっと考えたりもする。きちんと分別されているとはいえ、きっとずいぶん伸びているはずだ。
私が入庁した頃は、「お茶を飲む」といえば普通は茶葉からお茶を入れたものだったが、今では、ペットや缶入り飲料を飲む人の方が増えているからだ。以前のように、オンナノコに負担をお願いして、お茶を入れたり湯飲みを洗うというスタイルの方が、環境には優しいのだなぁなんて思うと、ちょっと複雑な気分になるのであった。
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