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1年生になったら
組織のこと
配属された当初、財政課ってところはものすごく排他的だと思っていた。一種の業界用語が飛び交っていることと、年季がモノをいう世界だったからである。
よく上司が使う言葉に「昔は徒弟制度みたいだった」があるが、今でも多分にその要素は残っている。仕事の仕方は隣に座るチーフを見て覚え、説明されないルールは、過去の書類や法規集などから「見つける」ことが基本である。「最近は、わからないことは聞けば教えてくれる」と言うが、意外とそうではない人もいないことはない(意地悪なのではない、念のため)。
財政課は異動頻度が低く、他課では通常3年程度のサイクルで人が入れ替わるのに、10年以上在籍している人もいるし、平均でも多分4年くらいだろう。長く在籍している人が多いので、その人たちの間でだけ通じる「業界用語」が当たり前のように使われるし、その人たちの間でだけ通じるルールというものもできてきてしまう。で、それらに「精通」している人(=長く在籍している人)が自然「幅を利かす」ようになってしまうのだ。で、自然と新人(異動したばかりの人)は肩身の狭い思いをすることが多い。
……というわけで、前置きが長くなったが、財政課には「一年生用務」ってものがある。例えば、資料の大量コピーや全庁的に回ってくる「当番」に行くことなどである。
前者の「事務にかかる雑用」は、自然に手伝う「二年生」以上も多く、今では純粋に「一年生用務」という感じではなくなったが、例えば、職員旅行の幹事、全庁的なイベントの手伝い、清掃ボランティアなどへの参加は、まだまだ「一年生用務」として残っている。が、私と同じく、今年二年生になる管理調整担当(一般的に言うところの庶務係)の人が「今年から一年生用務は止める」と決意した。で、予算担当者に比して事務に余裕がある人(=自分)が積極的に参加するよう努めている。
私は昨年は一年生であったため、ずいぶん雑用を引き受けており、「こんなことはおかしい!」と思っていたし、今も思っているが、じゃ、二年目になった今、積極的にそれらを引き受けているかと言えば、できてない。「やってほしい」と言われれば「いやだ」と言うことはないが、自ら進んではできない。
これまで連綿と「一年生用務」が続いてきたのは、私みたいな人ばかりだったから変わらなかったのだ。あるいは、人によっては「俺もやったんだからお前もやるべきだろう」なんて言う人もあって、それが「改革」を阻害していたのだ。その点で、自ら進んで改革しようとする彼にはちょっと感動した。で、自分も仲間に入れてもらうことにした。
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