ソフィアの殉愛


「リトナーさんっ、あのっ・・」
ソフィアが話し掛けてきた。
「あの、これっ、食べてくださいっ」
頬を赤らめながらバスケットを差し出すソフィア。
「・・・・碁石・・・・」
黒かった。
「そ、それではっ」
待てコラ。


「も、もうやだっ、僕なんかころせぇ〜〜〜」
狂乱のじょあん。
挑んできたはいいがあっさり撃破。
常勝無敗は伊達じゃないぜ。
「・・・・」
止めを刺そうとする俺の前に、ソフィアが立つ。
「もう・・いいでしょう・・あなたの勝ちです・・」
なんでこんな奴かばうんだ・・・
「後は私がやっときますから、今日のとこは帰ってください♪」
かばったんじゃないんかい。
「ひぃぃぃっ、ソフィア〜〜〜〜」
「ふふふ・・・この間はよくもっ!」
・・・どうやら、色々と恨みを抱いていたらしい。
哀れ、じょあん。


ちゅど〜ん
シアターで突然爆発がっbr もしや、またテロかっ!?
ソフィアの姿が無い、近くに立っている奴に聞いてみる。
「ああ、あの子なら、病院に・・・」
すぐに駆けつける。
「あ、リトナーさん。」
看護婦であるテディが俺に話し掛けてきた。
「私に会いにきてくださったんですか?(ぽっ)」
違う。
「はぅ・・解りました、ソフィアさんですね・・」
そう言って病室の番号を教えてくれる。
いい奴だ。
・・・なんか背中にメスが突き刺さってる気がするけど。

「ソフィアっ」
ばんっ、と強くドアをあける。
「あっ、リトナーさん・・・」寝巻きのソフィアが横になっていた。
「すいません、私がやりました。悪気は無かったんです。」
観念して腕を差し出すソフィア。
一体何をやったんだ・・(汗)
「無事でよかった。」
安堵の声をあげる。
「・・・失敗しちゃいました。」
へ・・?「折角、じょあんとアンさんとお父さんとチンピラ三人組を巻き込もうとしたのに・・
爆薬の量を間違えたみたいで・・」
・・・オィ
「子供なんです・・自分では何も成せない・・・成そうとしない・・・」
ソフィアは語る。
「こういうの、偽善者って言うんですかね?ううん、屈折したエゴイストなのかも・・」
俺もそう思う。
「例え周りにどう思われても良い、一度しかない人生を人の為に失いたく無いっ!だから・・」
何やら自分の世界に入っているようだ。
「だから・・あなたの為に・・歌います。」
何かが違うと思うぞ。
「・・・・・・」
呼吸を整えるソフィア。
「はぅ・・・・声が出ません。」
またアンに会わせるか・・・?
「うぅ・・主よ、あなたを恨みます・・・」
「それはクレアさんだろう。」
ジト目で見るソフィア。
「そういう事言う人、嫌いです。」
キャラが違うだろ、おぃ・・・
「声は一緒ですよ」
いや、そうだろうけどよ・・
「歌の練習するので今日は帰ってください。」
そうするか・・・
がちゃ
ドアを閉める。すると、部屋から声が聞こえてくる。
「財布のなっかみっは三千円っ、は〜ら〜だた○ぞうですっ」
何故にあの歌か・・
二度と来ないようにしよう・・・
そう思いながら病院を立ち去った。


「大変だよぅっ、ソフィア、今日じょあんと結婚式挙げるんだって!」
何ぃっ!?
「ソフィアを奪いに行くぞっ!」
漢は一生に一度は決断しなければならないときが来る。それは今だっ(陶酔気味)
「イェッサー、軍曹。」
俺は大尉だ。
「そういえば、この前昇格したんだっけね。」
熊倒してなんで昇格したのかが謎だが。
「ピコ、場所は何処だ?案内しろ。」
「うん、解った、こっちだよ。」

ぴゅ〜ん
早いです、早すぎます、ピコさん(泣)

ぜ〜ぜ〜・・・
死にそうになりながらも、なんとか教会へと着く。
「リトナーっ、もう結婚式始まっちゃってるよっ」
よしっ、ソフィア、待ってろよっ!
ばぁんっ
ドアをあける。ソフィアの名を叫ぶ。
「あっ・・・」
俺の姿を見た瞬間、走り寄ってくるソフィア。
「ソ、ソフィア〜」
泣きながら追いすがろうとして蹴散らされるじょあん、やはり不憫な奴だ。
そのままソフィアと共に通りすがった馬車に乗り込み、シアターの前で降りた。

「(前・中・以下略)あなたの為に、歌います・・・」
やけに短い気がするが、まぁいいだろう。
「部隊に寄せる〜 白手の波〜 浮かび 上がる昇叙の 姿〜♪」
ち、違うっ!何かが根本的に違うぞっ!ソフィアっ!


「怖かった・・・もう駄目なんじゃないかと思ってました・・」
涙目で俺に抱きついてくるソフィア。
おぉ、この短編集にしては珍しくソフィアが女の子らしいぞっ(何)
「もう少しだけこうしていたい・・・」
をっ、なんかいい感じだ。後一息だぞ、俺っ。
「ぐぉぉぉ・・・・」
・・・へ?
「あと少しだけ・・」
「ぐぉぉぉ・・」
・・・熊がいた。
なんだってこんな時に・・・
「そ、ソフィアっ」
とりあえず、逃げなければ・・・
「もう少しだけ・・」
「い、いや、状況がだな・・」
つか、熊、俺達に気付いてるしよ・・
「ふごぉぉ!!」
「リトナーさん・・私・・・」
ざくっ・・ざしゅっ・・・

「大丈夫ですかぁ?」
例によってテディが心配そうに眺めている。
「ソフィアは・・・?」
聞くと、少し悲しそうな目でテディは言った。
「あの自己中心的で小生意気な自称薄幸の美少女なお子様なら熊倒して英雄扱いされてましてたけど・・」
相変わらずテディはソフィアに対してなんか誤解を持っているようだ。
「・・・ってぇっ、熊を倒したっ!?」
「ええ、なんでも、素手で熊を仕留めたとか・・」
熊殺し・・・
その後、ソフィアは回りからそう呼ばれていたという。


「いっつ、しょ〜た〜いむっ」
相変わらずどこの方言だか解らない言葉を司会がしゃべる。
今日は五月祭。
花嫁コンテストとやらが行われるらしい。
そして、ソフィアが出場する。
「私なんかで、優勝できるんでしょうかね・・」
いきなり優勝を考えとるんかい。
「なんだか、ドキドキします。」
そういいながら胸の前に手を置く。
「うっ・・・」
ばたっ
そして倒れた。
「・・・って、おぃっ!」
「うぅ・・む・・胸が・・」
苦しそうに言うソフィア。
そして・・
「・・・5本ある。」
そりゃ一大事だ。
「はぅ・・受けませんでした・・・」
それで受けるのはこの国の王女様位だ。
「大体、胸が5本あるって、どういう人間だよ・・」
「えっと・・・」
考えこむソフィア。
「お金持ちで嫌味な婚約者がいて家が貧乏な薄幸の美少女で・・」
「はぁ、もういい。」
とりあえず、他にも思う所はあるけど、自信過剰だよソフィア(泣)

「さ〜て、来週のサ○エさんは〜」
オィ。
司会者は周囲からブーイングとナイフの洗礼を浴び、退場した。
どうやら優勝者はルビネ=ピピニッチという人だったらしい。
というか、面からしてこの星の人ではないのは気の所為だろうか。
「はぁ・・・やっぱり、私には無理でしたね・・」
花嫁コンテストぢゃなくて、変な面コンテストではなかったのだろうか。
「でも、しょうがないですね、優勝した人、あんなに綺麗でしたし・・」
・・どうやら、この国の人間は人を見る目が他の国とは大きくかけ離れているらしい。

〜おしまい〜
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