ココロ

・・・・いつからだろう。 とても心が寒かった。 私の所為ではなくて、 当然、誰の所為でもない。 だから、解らなかった。 寂しい、辛い、怖い・・・ 誰もが持っているそんな感情を、 私は持っていなかった。 それこそただ事務的に対象を探し、 『処理』していただけ・・・ 「真祖の姫よ・・また私を殺しに来たのか。」 何度目だろう。 『ロア』を処刑し、そして、また逃げられる――― いくらでも繰り返される事。 そう、私が存在する限りは何度でも・・・ 今目の前に居るロアを殺しても、 また転生し、その都度私はロアを処刑する。 私の使命は真祖・・いや、吸血鬼と呼ばれる物全ての処刑・・・ それが解っているだけで十分だった。 私には、存在意義が必要だった。 そう、ただ殺戮を繰り返し、 自らの過ちでロアという化け物を生んでしまい、 挙句の果て、私を『使っていた』真祖の全てまでもを・・ そんな事をしてきた私だからこそ、存在意義が必要だった。 だからかもしれない。 私は、吸血鬼以外には興味を持たなかった。 吸血鬼を探し、 処刑し、 そして、また眠りに着く。 無駄な事は一切せず、それだけを何百年も繰り返して・・ ・・・・・あれから何回、眠りと目覚めを経験した後だろう。 決着は、意外とすぐについた。 ロアは志貴に『壊された』。 その時既に私は『死んで』いたが、失った力が戻ってくる・・という事から、ロアが消滅したというのは解った。 何代目だったか・・・ 何度殺しても、すぐに転生し、別の人間に成り代わる、 そんな化け物を、志貴は殺した・・ いや、壊してから殺し、消滅させた。 私が何度やっても出来なかった事を、志貴はやってのけた。 私は、今まであった事を、色々と考えていた。 ロアに殺されたはずなのに、私は今、志貴によって繋ぎ止められた。 志貴は、私に何でも与えてくれている。 今取り留めた命も、志貴がロアを消滅させたから得られたような物だった。 思えば、 私が笑ったというのも、 志貴がシエルに取られると思って嫉妬したのも、 志貴と一緒に居たいと思ったのも、 全部・・・ 全部が志貴に与えられた物だった。 心・・・ そう、私には心さえ、志貴が居なければ無い物だった・・ 心が無い・・ ああ、だからなんだ。 何も感じられないから、 何も思えないから、 だから、寒かったんだ・・・ それが解ったから――― だから、目覚めたらどうしようかっていうのは、 もう・・決まって・・いた――― ―――アルクェイド・グッドエンドへ続く―――

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