機動戦士ガンダム外伝

〜夢幻の虚想〜


ルナU〜呪われた通告〜

「突然全放映権を侵した事については謝罪する。
私はメニル=ピート。地球連邦軍中将である。
だが、しかし、私はこれ以降連邦将校として名乗る事はないであろう。
それは何故か?私は、キセラの創始者であり、連邦の腐敗しきった体制に嫌気がさしたからである!」
それは、この一言で始まった。
「これより我々キセラは、地球連邦軍に対し、宣戦布告を行う!
連邦の改善・修正・再生を求め、我々は世界をも敵に回すだろう。
だが、私は、いや、キセラは負けない、何故ならば、我々は世界の人々の心を代弁しているのだから!」
この演説により、ゲリラ組織であった「キセラ」を、連邦は軍事組織として認識せざるを得なくなってしまっていた。

同時刻――
「くそっ、敵の数はたったの三機だぞ!?何故押される!?」
ここは地球連邦軍重要拠点の一つ、ローマ。
宣戦布告とほぼ同時にキセラにより襲撃を受け、部隊は壊滅していた。
「た、隊長っ!敵機は・・早すぎますっ!エアリーズではスピードについて行けません!
陸上部隊も既に全滅しています!」
数的には圧倒的に上回っていた連邦だが、最新鋭のMS「トーラス」前では太刀打ちできず、
被害もさして与えられずに敗北しつつあった。
「くそっ、これがトーラスだというのかっ!?
たった三機で・・一個師団が出たのだぞ!?」
陸戦師団と空戦師団・・双方合わせれば、多少の部隊が奇襲をかけてきても勝てるはずであった。
しかし、トーラスの機動性は空戦用のエアリーズを遥かに上回り、
陸戦用のジム・カスタムやリーオーではマシンガンを当てる事すらできずにいた。
つまりは、性能が違い過ぎるのだ。
「他愛も無いな・・」
トーラスのパイロットは言う。
そして、他の二機から敵の殲滅を終えたと報告があり、実質的に占拠に成功した。

「大佐。」
下士官の一人が彼―グラント=ピエール―に戦況を報告をしにきた。
「各制圧部隊は、北京・ローマ・インドネシア・アーティ=ジブラルタル及びその周辺基地の占拠に成功した模様です。」
ジャブローは駄目だったか・・・
そうつぶやく。
流石に、最新鋭MSトーラスとギャプラン改を持ってしても、
連邦本部であるジャブローを陥落させる事は難しかったらしい。
「ジャブロー部隊はどうしている?生き残っているのなら潜水艦を与え、アーティ=ジブラルタルまで撤退させろ。」
まだ、トーラスとギャプラン改の戦力は使える。
上手く使えば、地球での足場はますます固まる。
グラントはほくそえみながら自室に入った。

―ドラゴギア―
反ティターンズ軍隊「ネオティターンズ」の旗艦であり、移動式の本拠地でもある。
「キセラ・・ついに動いたか。」
玉座に座る髪の長い、美しい女がつぶやく。
「連邦は次々と拠点を奪われ、また、高級将校などが次々と殺害されているようです。」
側に控える中年の士官が報告する。
「所詮・・・腐敗した組織には争いの抑制力等は無いという事か・・」
独り言なのか・・それとも、士官に対して言ったことなのか・・
士官は黙ったまま、場を動かずにいた。
「そろそろ・・・我々も動かねばな・・・」
「・・・・はっ」それが合図かの様に、士官は敬礼をし、部屋を出た。
これがインフィニティ・センチュリーの幕開けであった。

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