朝帰り
はー、はー、はー
息が、切れる。
死者を殲滅するのにかなり手間取った。
時間は5時。
今にも日が出そう。
早く、帰らなくては・・
「おはようございます。」
翡翠が会釈する。
「おはよう。兄さんは・・まだの様ね。」
というか、この時間に兄さんが起きているというのは、
死の境から脱するよりも奇跡に等しい。
「それは言い過ぎですよ〜」
通りすがりの琥珀が何か言っていた気がする。
とりあえず、一週間朝食抜き・・と。
「すみませんすみませんすみませ(以下略)」
「解ればいいのよ、とりあえずご飯の用意をして頂戴。」
かしこまりましたー
とか言って厨房に入る。
いくら感応の能力を持っているからって、
好き勝手に心を読むのはいただけない。
でも、
「私は優しい吸血鬼♪」
なので許すとしましょうか。
「ただいまー」
外から腑の抜けた様な声が聞こえた。
明らかに、兄の声。
「えーと、秋葉はまだ起きて・・」
「兄さんっ、朝帰りとはどういう事ですかっ!」
とりあえず、
殺してしまいたい(=私の物にしてしまいたい)
衝動に駆られたけれども、
それをやると殺人犯確定で遠野家がピンチなので我慢我慢。
「遠野秋葉が現れた。」
・・・ぼんっ。
警告としてソファーを食してみました(はぁと)
「・・・すみませんでした。」
「あはっ、まるでドラ○エに出てくるモンスターみたいですね〜」
・・・・琥珀は一週間朝晩の食事を抜き・・・・と。
「わー!!ごめんなさいすみませんでしたもう言いません許してくださいどうかそれだけわぁぁぁ!!」
人をアルクェイドさんみたいなバケモノと一緒にしないで欲しいわ。
全く。
「・・・で、一体今まで何処にいたんでかすか?」
「公園だ。」
公園・・・?
夜中出て、
公園で、何を・・・?
「・・・・・・・・・」
まさかっ、まさかまさかまさか・・
公園で待ち伏せ→オヤジ狩りっ!?
兄さんっ、お小遣いが足りないからって、そんな・・
「あのー・・秋葉さん・・・・?」
うう・・遠野の家から、
殺人犯や婦女暴行犯や幼女誘拐(?)犯だけではなく、
チーマーまで出てしまうなんて・・
当主として、なんとかしなければっ!
「兄さんっ!」
・・・・って、アレ?
「あのー・・・」
翡翠が申し訳無さそうに立っている。
何かしたのかしら?
「志貴様でしたらもう学校に向かわれましたが・・」
「・・・・はい?」
「・・・・9時です。」
・・・・・・・・・・
「なんですとぉ!?」
時計を見る。
翡翠の言ったとおり、ぴったり9時。
はぁ・・今日も・・・遅刻・・・
「あ、あの・・・秋葉様、お食事は・・・」
「今日はいらないわっ、急がないと、また先生に怒られる・・」
たったったっ、がちゃん。
「あぅ・・・折角造ったのに・・・」
「朝からお刺身ですか・・・」
「いやね、うん、私もどうかなーとは思ったんだけど、
丁度、いい感じに池の鯉が死んでたからね・・」
「自分の主人になんて物を・・・」
「あははっ、いいのいいの。
どうせ秋葉様、なんでも食べられるんだから。」
「はぁ・・・」
きーんこーんかーんこーん・・・
「遠野さん、今日で何回目の遅刻かね。
いくらなんでも、今月は多すぎじゃないかね?」
・・・結局、間に合わなかった。
「うぅ・・・兄さんさえ真面目に生きてくれていれば・・」
(終)
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